財産分与について

 財産分与とは夫婦が婚姻中に協力して得た財産を、離婚の際または離婚後に分けることをいいます。民法には「協議離婚をした者の一方は相手方に対して財産の分与を請求することができる」(768条9)と規定があります。財産分与は、清算的財産分与と扶養的財産分与にわけられます。以下に説明させて頂きます。

◆ 清算的財産分与 

 清算的財産分与とは夫婦が婚姻中に協力して得た財産を、離婚の際または離婚後に分けることをいいます。民法には「協議離婚をした者の一方は相手方に対して財産の分与を請求することができる」(768条9)の規定があります。

 離婚の際の財産分与の対象となる財産は、結婚している間に夫婦の協力によって築いた財産で、実際に夫婦の共有となっている財産が典型的なものです。例えば、夫婦が共同で購入し、登記上も夫婦の共有名義となっている不動産が、その代表といえます。

 また、夫婦のどちらかの名義になっていますが、夫婦でお金を出し合って取得したものも、名義上は共有ではありませんが、実質的には共有財産となり離婚の際には財産分与の対象となります。逆に夫婦それぞれの特有財産(結婚前からの貯金や両親からの相続財産など)は財産分与の対象とはなりません。

 財産分与の割合につきましては、夫婦が財産の形成維持にどれだけ協力し、貢献してきたかを考慮し決定することになります。家庭裁判所の離婚調停では、妻にも2分の1の割合で財産が分与されるのが一般的です。通常、財産分与は、夫婦間の離婚の話し合いで決めます。お互い財産分与額に納得がいかなければ、家庭裁判所へ離婚調停を申立てることになります。離婚調停でも話し合いがまとまらなければ、審判、訴訟へと移ることになります。

 財産分与は民法により除斥期限が規定されており、離婚から2年経つとその請求をすることができなくなってしまいます。

◆ 清算的財産分与の方法

以下に、清算的財産分与の方法等について記させていただきます。

1、どの時点の財産が財産分与の対象となるか、また財産の評価額はどの時点のものか

(1)まず、いつの時点の財産が財産分与の対象となるかが問題となります。すなわち、離婚届を出したときか、財産を実際に分けようとした時か、その他ほかの時かの問題です。これについては、別居時と解されています。夫婦が協力して形成した財産を清算するのですから、夫婦の協力関係が失われた別居時の夫婦共有財産が財産分与の対象とされます。

 しかし、具体的に何時をもって別居時とされるか問題となることがあります。現実には別居しても夫婦関係が破綻したとまでは言えないときもあるでしょう。また、単身赴任で別居して生活しても、夫婦間の協力関係が失われているわけではありませんので別居とは言えません。法的には、この別居とは、財産形成に関する夫婦間の協力関係が失われた時であると解されています。

 この別居時は、財産分与の対象範囲を決める物差しとなりますので、離婚裁判の場合で別居時がいつか争いがあるときは、訴訟の一定段階で裁判所が判断をして、訴訟の進行を図ることがあるようです。協議離婚の場合は、ご夫婦で話し合って決めることになります。協議離婚の場合は、それほど争いにはならないようです。

(2)次に、上記(1)で対象となった財産の評価の基準時についても問題となります、すなわち、不動産を例にとれば、いつの時点の不動産の評価額を財産分与の際の評価額とみるかの問題です。この点、裁判離婚の場合は、厳密には最終終口頭弁論終結時とされています。しかし、裁判離婚の場合でも、預金等は別居時の残額とされております。一方、協議離婚の場合は話し合いで評価の時期を決めても問題はありません。

 具体的には、不動産であれば口頭弁論終結時の不動産屋の評価や固定資産税評価証明書、路線価等で決めます。売却するのであれば、売却額で決めます。預貯金については、別居時の残高が対象となります。生命保険等の保険金請求権は別居時の解約返戻金相当額とされます。株式は、口頭弁論終結時の日経新聞等で決めます。協議離婚の場合は、ご夫婦の話し合いで日経新聞等をもとに話し合いで決めます。住宅ローンの負債は、別居時の額を基準に決めることになります。

2、財産分与の対象となる財産とは

(1)一方配偶者の固有財産

 財産分与の対象となる財産とは、夫婦の共同生活中に夫婦で形成した財産という事ですから、離婚前から有していた財産、婚姻中に他から受けた贈与や相続によって継承した財産は、当該配偶者の固有財産となり、離婚の際の分与財産とはなりません。

 問題は、固有財産かどうかどのように判断するかです。具体的には、婚姻前から有していたと主張するのであれば、婚姻前の預貯金口座の取引履歴で証明する事になります。また、婚姻中に得た財産は夫婦共有の財産と推定されますから、贈与や遺産分割で得た財産であることを証明しなければなりません。贈与契約書や遺産分割協議書があれば問題ないですが、ない場合は通帳の取引履歴で証明する事になります。

(2)法人名義の財産

 法人名義の財産は夫婦の財産ではありませんので、財産分与の対象とはなりません。しかし、法人が株式会社であり、一方配偶者がその株式を所有し、その株式が婚姻生活中に形成されたものあれば、財産分与の対象となります。

(3)子供名義の財産

 子供自身がアルバイトをして貯めた金銭やお年玉を貯金した場合は、子供の財産となります。しかし、親が子供の将来の教育資金に充てるための預金は財産分与の対象と考えられます。学資保険も同様です。

(4)債務の処理

 夫婦生活を維持するために生じた債務も財産分与において考慮されます。生活費の不足を補うための借入れ、教育ローンや住宅ローンがこれにあたります。反対に、ギャンブルや遊興費のための借入れは考慮されません。

(5)退職金

 退職金は、労働の対価の後払い的性格を有しているので、婚姻後別居に至るまでの期間に対応する部分については財産分与の対象となります。しかし、将来の給付に関わるので、金額の算定は困難です。一般的には、別居時に自己都合によって退職した場合の退職金とする場合が多い様です。支払方法は、実務上では一括支払いが前提のようです。これに対して、裁判例では、退職金が支給されたことを条件に支払いを命じた例があります。

6)未払い婚姻費用

 最高裁判例によれば、婚姻費用が未払いの場合は、その清算を財産分与として考慮することが可能とされています。離婚時において、別居時の収入を確定することは困難ですので、本来であれば、婚姻費用の調停・審判によって解決するべきとも思われます。しかし、ご夫婦の話し合いで決めることが出来るのであれば、それもよいろしいかと思います。

3、分与の方法

 なお、分与額は、分与対象財産のうち、積極財産(預金、不動産等)から消極財産(住宅ローン)を差し引いて、その2分の1となります。但し、裁判上の扱いでは、住宅ローンなどの債務の方が多い場合、残債務を2分の1ずつに分けることはできません。財産分与は、積極財産のみを分けるものとされているからです。この場合、ローンの債務者(通常は夫)が負担するようです。但し、協議離婚の場合、ご夫婦で話し合って、お二人で負担を等分されてもよろしいです。

◆ 扶養的財産分与

(1)扶養的財産分与とは

 扶養的財産分与とは、離婚によって、ご夫婦の片方の生活が困難になる場合に、離婚後の生活の維持を目的としてされる財産分与を言います。これは、次のような配慮に基づくものです。たとえば、夫が会社員で、妻が専業主婦である場合を考えてみると、夫は離婚しても、今までと同じ収入があり、生活していけますが、他方、妻は収入がなく、生活が困難になることも予想されます。妻が、結婚して専業主婦となったことにより、夫も安心して働くことができ、収入の安定をはかったということを考えると、離婚後に妻が自分で生活できるようになるまでの間、夫には、妻の生活を援助させるのが公平であるといえるからです。

 扶養的財産分与は、以上のような配慮に基づくものですから、離婚しても生活に不安がないという場合には、問題は生じないことになります。例えば、離婚してもご夫婦共に収入があり、その収入で各自が生活をしていける場合、また、清算的財産分与により十分な額を受け取っている場合等は、扶養的財産分与は問題となりません。

(2)清算的財産分与と扶養的財産分与の違い

 ご夫婦が協力して築いた財産を離婚の際に清算・分配するという清算的財産分与は、ご夫婦で築いた財産がなければ問題となりません。しかし、扶養的財産分与につきましては、たとえご夫婦で築いた財産がなくても、離婚後の収入・自分の固有財産の中から、他方に与える必要がでてきます。ここが、清算的財産分与と扶養的財産分与の違いとなります。

(3)扶養的財産分与の決め方

 扶養的財産分与は、妻が専業主婦である、乳幼児を抱えている、高齢、病気等のために特有財産を持たず就労能力が十分でない、などの配偶者にたいしてなされる財産分与です。従いまして、社会復帰や自立を可能とする期間を考慮するとともに、婚姻前後の生活水準、特有財産の存否、就労可能性(年齢、学歴、資格など)、子の有無、再婚の可能性、夫の所得能力、資産等の一切の事情を考慮します。また、具体的な財産分与については、生活費の全てを援助するのではなく、生活費の一部を援助するというものが多いようです。

 弊事務所では、離婚に際して決めたことを公正証書にする、離婚公正証書の作成代行業務を承っております。

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