内容証明の利用について − 細川行政書士事務所

1、内容証明を出す前に

 
内容証明を出すことによって、場合によっては相手方に宣戦を布告することになり返ってトラブルになってしまったり、こちらが出した内容証明が相手方の証拠になって不利益を蒙ることもあります。従って、内容証明は不用意に出すものではありません。また、内容証明を出しても何の反応もないことがあります。このときに次の一手を考えておかなければなりません。さらに、内容証明などという「生ぬるい」方法ではなく、即座に仮差押や告訴といった法的手段にうったえるといった強硬手段に出なければいけないこともあります。これらのことを念頭におき、内容証明を出すべきか、また、出した後の相手の出方に対応するこちらの対応をどうするか等、最終的な解決までのプロセスを考慮しながら出す必要があります。

2、内容証明郵便にしなければならないとき

(1)債権譲渡の通知(民法467条2項)

 債権譲渡とは、債権者が、債務者に対する債権を同一性を変えないで債権譲受人に譲渡し、債権譲受者の債務者に対する債権とするものです。債務者に対する対抗要件として、債務者に対する債権者の通知または債務者の承諾(民法476条1項)が必要となります。民法476条2項において、この対抗要件である通知又は承諾は「確定日付」のある証書でなければ第三者に対抗できないとされています。この「確定日付」ある証書にあたるのが、内容証明郵便や公正証書になるわけです。 したがって、債権譲渡した場合は、通知、承諾は内容証明で行ってください。

(2)債権放棄のとき

 やむを得ず債権を放棄するときは、債務者に内容証明郵便を以って通知します。売掛金を放棄するため損金処理できますが、税務当局への証拠になります。口頭はもとより普通郵便でも否認されます。

(3)契約解除

 契約は口頭でも解除できますが、これでは何の証拠もなくあとで紛争になると証明できません。このため、必ず内容証明にするべきです。

(4) 消滅時効の中断
 
 消滅時効の期間は、債権の種類によって違います。例えば、商品の売掛債権は2年で消滅します。この時効の進行を止めるには、訴訟の申し立てなどの裁判上の請求及び差し押さえ、仮差押え、仮処分又は債務者の承認及び裁判外の請求があります。内容証明を出すことは、裁判外の請求をすることにあたり、時効中断の効果があります。しかし請求後6ヵ月以内に、前述の行為をしないと時効は中断しなかったことになりますので、注意が必要です。

(5)遺留分減殺請求

 遺留分減殺請求をする場合、まず、内容証明郵便で意思表示したほうがよいでしょう。 意思表示は相手に到達することを要します。相手が内容証明を受領した時点で消滅時効は中断します。この点に関し、遺留分減殺の意思表示された内容証明郵便を相手が受け取らず、郵便局での留置期間の経過により差出人に還付された場合でも意思表示の到達を認めた判例もあります(最裁判平10.6.11)。

3、内容証明を出してはいけない場合

 
内容証明を出すのは、トラブルの予防や解決のためです。従って以下のような場合には出してはいけません。できるだけ交渉により解決するべきです。

(1)相手が誠意を示し解決の糸口が見えるとき

 相手方が債務の存在を認め、分割返済案など返済の意思をしめすときには、出してはいけません。こういうときに内容証明がいくと感情的になり、悪ければ裁判沙汰になる可能性もあります。このような場合は内容証明よりも話し合いで解決内容を決め示談書などを作ることになります。ただし、口先だけで返済を遅延させることが目的だとわかったら出すべきです。

(2)トラブルの相手方と関係が深いとき

 家族、親族、隣人、職場の人間などの場合は、内容証明を出すことが関係の破壊を招くことになるかもしれません。将来も付き合わなければならない関係のときは出来るだけ話し合いで解決するべきです。当事者同士での解決が難しい場合は、信用のある人を間に入れることも必要かもしれません。

(3)相手方が倒産しそうなとき、不渡りのとき

 倒産しそうなときには、内容証明など出したら逃げられかねません。直ちに仮差押えすべきです。また、不渡りのときもケースは色々ですが、仮差押え、訴訟、強制執行、破産申し立て等を急ぐので、この場合は直ちに弁護士に相談するべきです。

4、まとめ

 
内容証明は、一部のものを除き単なる手紙と変わらないものですが、簡単に出してよいものではありません。また、自分にとって証拠になるということは、相手側にとっても証拠になるということであり、不用意なことを書いてしまうと逆に相手に有利な証拠を与えてしまうことになりかねません。場合によっては、民事上の損害賠償の対象になったり、刑事上の問題にもなりかねません。相手の反応を予測したり、あらゆる事態を想定し、作成する必要があります。同じような案件でも、微妙に状況が異なってくるので規定の文例などでは役に立たないかも知れません。個別の事案に応じた文章が必要です。また、出した後の相手の反応は、その事案ごとに異なっており、「正解」がない世界です。 特に損害賠償請求(慰謝料など)、債権回収などの場合は、弁護士、行政書士などに任せたほうがよいかも知れません。

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