遺言の無効と取消し − 細川行政書士事務所

 遺言は、民法の規定する厳格な方式に従って作成されていない場合や、遺言内容が公序良俗に反する場合などは無効となります。また、遺言が遺言者の真意によりなされていない場合は、取り消すことができます。無効の場合、最初から何の遺言もなされていないことになり、誰でも無効の主張ができます。一方、取消しの場合は、一定期間の間に取り消さない場合は最初から有効なものとなってしまいます。

◆遺言が無効となる例

・遺言能力の欠如(重度の精神疾患ある者や15歳未満の者のなした遺言)
・遺言書の内容が公序良俗違反・強行規定違反の場合
・遺言者の錯誤によりなされた場合
・遺言方式に違反する場合
・共同遺言の場合

◆遺言が取消しされる例

・遺言が詐欺・脅迫によりなされた場合

◆遺言方式に違反する場合

1、自筆証書遺言の場合

1)自分で遺言の内容の全文と日付及び氏名を書いて、署名の下に印を押さなければなりません」(民法968条)。「自書」が要件とされているのは、筆跡により本人が書いたものであることが判定でき、それ自体で遺言が遺言者の真意にでたものであることを保証することができるからであると解されています。したがって、ワープロやタイプライターによる遺言は無効です。字の書けない人は、公正証書遺言や秘密証書遺言によるほかありません。

2)自筆証書遺言で日付の自書が要件とされているのは、遺言者の能力を判断する標準時を知るためと、2通以上の遺言書が現われた場合に、その前後を確定して遺言者の真意を確保するためです。遺言書作成年月日が自書されていないものは無効ですし、年月だけ書かれて日が書かれていないものも無効です。「還暦の日」、「第何回目の誕生日」などの記載は、暦日が正確に分かるので有効です。一方、「○年○月吉日」は日の記載として不正確ですので、無効です。

3)氏名は、戸籍上の本名でなく、雅号、芸名、屋号であっても、筆者の同一性が確認できれば有効です。しかし、氏名を正確に記載すべきでしょう。

4)共同遺言の禁止(民法975条)

 仲のいいご夫婦であっても、同一の遺言書で遺言をすることが禁止されています。これに違反した場合は全て無効となります。その理由は、遺言は本人の自由な意思により書かれるべきものであるところ、同一の遺言書では、相互に影響しあっていて、真意か否か疑問が生ずるからです。 

遺言の撤回 − 細川行政書士事務所

 民法では「遺言者はいつでも遺言の方式にしたがって、その遺言の全部又は一部を取り消すことができる」(民法1022条)と規定しており、遺言者は遺言の取り消しを自由に行うことが認められています。遺言は遺言者の最終意思を尊重することにありますので、遺言者は自由に遺言の取り消し(撤回)を行うことができるのです。

◆民法に定められた遺言の撤回について

1、前の遺言を撤回する遺言によって、遺言者はいつでも前の遺言を撤回することができます。

2、前の遺言と抵触する遺言があれば、抵触する部分は前の遺言が撤回されたものとみなされます。

3、遺言をした後に、遺言の目的物を他人に売却したり贈与した場合にはその抵触した部分については撤回したものとみなされます。

4、遺言者が故意に遺言書を破棄した場合には、破棄された部分の遺言については撤回されたものとみなされます。

5、遺言者が遺贈の目的物を故意に破棄した場合には、その目的物については遺言は撤回されたものとみなされます。

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