相続に対する対応方法 − 細川行政書士事務所

 相続する財産には、不動産や預貯金などの、「プラス財産」だけでなく、借金や住宅ローンなどの「マイナス財産」もあります。そのため、遺産を調べたら、マイナス財産のほうが多かったという場合もあります。このような場合、相続人はあくまでも、被相続人の借金を返済しなければならないのでしょうか。法律には単純承認、限定承認、相続放棄の3つの選択肢があります。以下に説明させて頂きます。

単純承認とは − 細川行政書士事務所

 単純承認とは、正の財産も負の財産(借金等)も一切を無制限に相続することをいいます。すなわち、亡くなられた方が大きな負債を抱えていた場合には、その借金も一緒に引き継ぐことになる相続の方法です。しかし、そうせずに相続放棄、限定承認の手続きもあります。以下に、ご説明させて頂きます。 

 まず、相続人は、相続開始の時(被相続人が亡くなられた時)から、被相続人の一切の権利と義務を引き継ぎます(民法第986条)。

 例えば、お父様が亡くなられたとしますと、一般的には、お父様が亡くなられた時点から、法律上、奥様やお子様が土地、建物、預金等の相続財産を法定相続分の割合に応じて引き継ぎます。しかし、お父様が大きな借金をしており、財産より借金のほうが多いような場合は、その借金を無理やり奥様やお子様に引き継がすのは酷であるとの考えから、3か月の熟慮期間を設けて、奥様やお子様に、本当に相続財産を受け継ぐかどうか、すなわち、相続放棄するか、限定承認するかを決めてもらうことになります。

 ところで、この3か月の熟慮期間は、自分が相続人なったことを知った時から計算します。すなわち、同居しているのであれば、亡くなった日から3か月以内ですが、お父様と疎遠で付き合いがないような場合は、警察からお父様の死亡の連絡があった日、債権者からの催告があった日などにお父様の死を知ったことになりますので、その日から3か月以内となります。なお、この熟慮期間に相続財産の調査が出来ない場合は、3か月経過前であれば、裁判所に熟慮期間の延長を申し出ることも出来ます。

 この3か月以内に、相続をするとの意思表示をすれば、相続を承認した(単純承認)ことになります。なお、この意思表示は、誰に対してするものでもありません。したがって、裁判所や市役所に、自分は相続しますと届け出ることは必要ではありません。ただ、ご自身の気持ちの中で、相続するんだと思っていればいいわけです。

なお、そのほかに単純承認したとみなされる場合が、以下のとおり法律で決まっています。

民法第921条(法定単純承認)
次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。

1、相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第602条に定める期間を超えない賃貸をすることはこの限りでない。
2、相続人が第915条第1項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。
3、相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私(ひそか)にこれを消費し、または悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が
  相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りではない。 

 これによりますと、3か月の熟慮期間内に、相続財産を処分したり、相続財産を隠したり、相続放棄・限定承認をしなかった場合は、単純相続をしたものとみなされることになります。また、相続放棄をしたにもかかわらず、相続財産を処分した場合は、単純相続したものとされ、相続放棄は無効となりますので注意が必要となります。

相続放棄とは − 細川行政書士事務所

相続財産を調査した結果、被相続人(亡くなられた方)のプラスの財産より借金のほうが多かったという場合は、家庭裁判所に相続放棄の申述をしたほうがよろしいかもしれません。

相相続放棄をすると最初から相続人ではなかったとみなされますので、財産も引き継げなくなりますが、被相続人の借金等の負債は全て引き継ぐ必要がなくなります。債権者が相続人に支払い請求してきた場合でも、私は相続放棄したので支払う必要はないと主張できるわけです。

この相続放棄は、3か月の熟慮期間内に、被相続人の最終住所地を管轄する家庭裁判所に、申し立てる必要があります。管轄裁判所に相談されると、手順を親切に教えてくれると思います。また、裁判所のホームページにも説明があります。

 なお、弊事務所では、相続放棄のサポート。相続放棄に必要な添付書類の取得代行を承っておりますので、ご検討を頂ければと思います。

限定承認とは − 細川行政書士事務所

 正の財産が多いか借金が多いか分からない場合は、限定承認をしたほうがよろしいかもしれません。限定承認とは、相続によって得た財産の範囲内で被相続人の債務を引き受けるというものです。相続放棄との違いは、相続放棄の場合は最初から相続人ではなかったことになるのですが、限定承認の場合は、あくまで相続人の地位にはあるわけです。

 限定承認の申し立ては、熟慮期間中に相続人全員共同(放棄した者は含まれません)で、財産目録を作成し家庭裁判所に申述しなければなりません。

 この財産目録に、悪意で記載しなかった財産(正の財産も借金なども含む)があった場合は、単純承認をしたものとみなされます。また、限定承認をした後に、相続財産の全部または一部を隠したり、消費した場合も、単純承認をしたものとみなされます。

 実務上では、この限定承認は手続きが煩雑なので、ほとんど利用されていないようです。

※裁判所のホームページ 〜限定承認の手続〜

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