遺言書について − 細川行政書士事務所

1、遺言書の様式性

 遺言というと、一般的には、死期の枕元で伝える最後の言葉というイメージがあります。法的な意義を有しない訓示、訓戒等もふくまれて理解されているようです。このような言葉も遺言には違いありません。この場合は、形式は関係なく、口頭でもかまいません。

 しかし、法的な意義を有する遺言はあくまで法律行為になりますので、法律で決まっている要件を満たした場合のみが有効な遺言書として法的な効力を認められることになります。そこで、遺言書で規定できる内容を踏まえながら、法定の形式に従って作成することになります。このよう、法的効果を有する遺言書に厳格な要件を定めるのは、遺言の存在自体を明確にする目的と、遺言の内容を明確にする目的があるからです。

 すなわち、家を誰に相続させる、いくらの預金を誰に相続させる、などの法的効果を有する遺言書には一定の形式が必要とされるということになります。

2、遺言能力

 遺言は、遺言者自身が単独で行うべき行為であり、代理人によることはできず、他の人の同意を要件とすることもできません。

 民法は、満15歳に達すれば、未成年者・成年被後見人であっても、意思能力さえあれば、単独で遺言ができることにしております(民法916条)。被保佐人や被補助者にも遺言能力は認められています。
 
  成年被後見人については、事理を弁別する能力を一時回復したときに、医師2人以上の立会いを要件として、遺言をすることが認められています(民法973条)。 

3.遺言書の種類 

 
遺言
書の種類には、大きく分けて普通方式の遺言と、特別方式の遺言の2種類あります。

 特別方式の遺言には@死亡危急者の遺言A伝染病被隔離者の遺言B在船者の遺言C船舶遭難者の遺言がありますが、一般的ではありません。以下に普通方式の遺言の特徴を記します。

1)、普通方式遺言

@自筆証書遺言 
 紙とペンと印鑑だけで、自分1人でいつでも作成できます。必ず自筆で作成する必要があり、プロでは作成できません。一定の要件があり、要件不備のために効力を認められないことがあります。紛失や偽造の恐れもあります。さらには、死後に遺言書を発見してもらえない危険性があります。作成や保管には細心の注意が必要です。

A公正証書遺言
 公証役場で、口頭で内容を説明し、公証人に作成・保管してもらう遺言書です。最も確実な手段といえます。財産が多い場合、相続人が多い場合、相続人の争いが予想される場合は、確実に遺言が執行されるためにもこの方法がよいでしょう。

B秘密証書遺言
 自分で作成して封印した遺言を公証人に保管してもらう方式です。自筆証書遺言と同様、自分で作成するので要件不備の危険性はありますが、公証人が保管するので紛失や偽造の危険性はありません。又、ワープロでも作成できます。この方式は、費用や手間が公正証書と同じであり、あまり利用されていません。

4、各遺言書の特色

 秘密証書遺言は一般的ではありませんので、自筆証書遺言と、一般的に良く行われる公正証書遺言について、それらの長所と短所をまとめます。

1、自筆証書遺言

長 所

 短 所

 1人で簡単にできる

 詐欺・脅迫の可能性あり(裁判になりやすい)紛失・隠匿の可能性あり

 遺言した事実や内容を秘密にできる  方式が不備だと無効になる恐れがある
 方式は簡単で費用がかからない  検認手続が必要になる


2、公正証書遺言

 長 所

 短 所

 公証人が作成(証拠力が高い・安全確実)  公証人が関与するので作成が煩雑
 原本を公証人が保管(偽造・紛失の恐れがない)

 遺言の存在と内容を秘密にできない

 字が書けない者でもできる  費用がかかる
 検認手続の必要がない  証人2人以上の立会いが必要

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